帰国後、このチャペルについて改めて調べたら、ロスコはフランスの画家、アンリ・マティスが南仏のヴァンスに作った礼拝堂「ロザリオ礼拝堂」に影響を受けたということを知りました。
そうすると、行ってみたいと思うのは当然! 昨年、念願かないヴァンスを訪れたのですが、外観も雰囲気も全く違い、どの部分に影響を受けたのかと思いながら扉を開け、足を踏み入れると、ロスコ・チャペルと同じ空気が流れていたのです。
ステンドグラスの光と、マティスの線描に囲まれると、同じように浄化され無心になっていく自分を感じました。
「何か」が私に影響を
書の作品でも、大きくて迫力があるものもいいと思いますが、私自身は柔らかい線の中に力強さを発し、太い線や運筆に勢いがあっても繊細さを表現する作品にひかれます。ロザリオ礼拝堂のマティスの線描にはまさにそれを感じました。
ロスコ・チャペルとロザリオ礼拝堂での体験後、日本での慌ただしい日常生活の中で、目をつぶると、そこに流れていた空気がよみがえります。すると平穏な状態で作品に取り組め、自分の内にある想いに真っすぐ向き合えるように思います。