フランス・モンペリエ【拡大】
地中海に近いモンペリエ市。アパートで1人暮らし。名店で研修を積んだ。中世から続く文教都市。16世紀、医師として活躍、謎に包まれた予言を残したノストラダムスも若き日、この街で学んだという。美しい自然。豊かな食材。すっかり気に入った。ある日、市長と会う機会があった。神保青年はいった。「帰国したら、独立して店を構える。店名を『モンペリエ』としてもいいだろうか」。日本男児の心意気。市長はその場で快諾したという。
市川駅前に小さな店(当時7坪)を借り、開店した。しかし、現実は甘くはない。洋菓子がさっぱり売れない。1日の売り上げが2000円…。それでもめげなかった。工夫をこらして創作洋菓子を作り続けた。おいしい菓子の評判は徐々に高まっていった。
いま、従業員15人。店の経営は順調だ。台湾にも出店を果たした。全国から洋菓子職人が見学に来るようになった。洋菓子一筋の人生が花開いた。
――若き洋菓子職人に助言を
「何百万円も学費を払って製菓専門学校を出て2、3年でやめちゃう子が多い。洋菓子業界は、完全なる日本の職人の世界です。最低10年は辛抱を。技術を継承できます」(塩塚保/SANKEI EXPRESS)