過去と今の繋がり
近年“伝統”という言葉が一人歩きしているように思える。“伝統”=“年月”をうたったり、伝えたりすることが美徳のようになりすぎてはいないだろうか。それが社会全体に影響を及ぼす一種の強迫観念となり、“伝統”とつくものはすべて肯定的にとらえ“美しい”と答えなければならないという感覚に陥っているように思える。こうした風潮は、一部の人々の優越感を満たすばかりで、使い手となる人々との乖離(かいり)を招いてはいないだろうか。“伝統”という言葉を表面的にあしらった、本質を見失った“和風”には、作り手と使い手との真の関係をつくるに至らない。
先人たちが培ってきたものに寄りかかり、どう維持していくのかを重視するのではなく、強い信念の元、未来をどう見据え現代と向き合うことこそが重要だと考える。そうした姿勢は、国や人種を超え人々をひき付け感動させる。その結果が、時代を超え本質として残るのであり、伝統の本来の姿である。