はみ出し者に脚光
主に美しくて愛らしいキャラクターを主人公に、ハッピーエンドの物語を発信していた30年前のディズニーでは、滑稽さや恐怖、グロテスクさを併せ持つバートン作品を採用できなかった事情もうなずける。ただ、不遇の中で描いたモチーフのいくつかは、後の映画で花開いた。
確かに、人を怖がらせることに飽き飽きし、クリスマスを演出して失敗する「ナイトメアー」のジャック・スケリントン、愛犬の死を受け入れられず、生き返らせる実験に手を染める「フランケンウィニー」(2012年)のヴィクター、ハサミの手が人を傷つけ、危険な化け物として追われる「シザーハンズ」のエドワードなど、バートン作品の主人公たちは暗さと悩みを持つ。
セクション「誤解されがちなアウトサイダー」では、善意の持ち主でありながら、現実とかけ離れた世界観を持ち、周囲の人々に拒絶されて孤立してしまう「はみ出し者」の主人公を取り上げている。展覧会キュレーターのジェニー・ヒーさんは、「良い意図を持ちながら、その結果は惨憺(さんたん)たるものになるというテーマは、一貫している。主人公たちは、創造力を持って、既存の世界に反逆する」と指摘する。