英国・首都ロンドン【拡大】
「正直驚いた」というラオニッチの棄権を知らされたのは試合開始の約1時間半前。196センチの長身からの高速サーブを武器にする同世代から、小柄ながら粘り強いストロークが持ち味のベテランに相手が代わった。「戦術を変えるのが難しかった」と、第1セットを先取される。
だが、今季3連勝し世界10位ともはや格下の相手に慌てなかった。壮絶なラリーも覚悟の上で、第2セットは「リスクを冒して攻撃的にいった」。トスの位置を修正したファーストサーブの成功率が第1セットの51%から72%に上がると、攻めに余裕が生まれた。回り込んで放つフォアの強打に加え、ドロップショットを効果的に織り交ぜて反撃。ギアをさらに上げた最終セットは「ミスを恐れず打ち抜けた」。“子供扱い”にラケットを折って興奮する場面もあったフェレールは「ケイはサーブと体力が向上した。一枚上だった」と脱帽するしかなかった。