「あと一つ」「ここまで来たら勝つしかない」。テニスの全米オープン男子シングルスで世界ランキング1位の強敵を破り、決勝進出という日本人初の快挙を成し遂げた錦織圭(にしこり・けい)の出身地、松江市は7日、歓喜に沸いた。
市内のホテルで行われたパブリックビューイング。試合開始は午前1時すぎにもかかわらず、市民ら約200人が集まり「がんばれ 島根」と書かれた黄色い小旗を振りながら観戦。会場からは「すごすぎる」「ナイスサーブ」と掛け声が上がり、勝利の瞬間には大歓声がとどろいた。
「集中力が持続し、力がみなぎっていた。すごい選手になった。あのジョコビッチ選手相手にここまで試合をコントロールするなんて。決勝でも先行すれば、結果は付いてくる」。6歳から7年間、錦織にテニスの基礎を指導した松江市のグリーンテニススクールの柏井正樹コーチ(54)は勝利の瞬間、ガッツポーズで喜んだ。
「控えめな性格だけど負けず嫌い。昔からテニスが大好きで、練習を楽しんでやっていた」。母親の後ろに隠れるようにしてスクールにやってきた少年だったが、コートでは指示通りの場所にボールを打つという非凡な才能を見せていたという。小学6年で同年代の3大全国大会を制覇。卒業文集に「夢は世界チャンピオンになること」とつづった錦織は松江市の私立開星中1年の時にテニス修業のため単身渡米した。