加藤さん、このような状況に心を痛めている韓国人はたくさんいると思います。今まで、あまり語ったことがないのですが、私と韓国の関係について説明します。私が韓国を初めて訪れたのは、同志社大学神学部1回生、1979年5月のときのことでした。(中略)当時、同志社大学神学部を卒業し、韓国神学大学校大学院に留学していた先輩が「学園浸透スパイ団」事件で逮捕され、光州の教導所に収容されていました。その関係で、同志社の神学生の韓国への渡航について、韓国政府は慎重な姿勢を示していました。
ビザを取りに大阪の韓国総領事館に行くと窓口の女性から「領事の面接があります」と言われました。中年の領事が韓国への渡航目的や、大学で勉強している内容について細かく尋ねました。私が当時の韓国政府に対して批判的だったことを言葉のはしばしから感じたと思います。ビザを拒否されると思ったら、領事は最後に、「どうぞあなたの若い目で韓国をじっくり見てきてください。ただし、共産主義国と対峙(たいじ)している関係で、韓国の政治状況は日本とちょっとだけ違います。そこには注意してください」と言って15日間有効のビザのスタンプが押されたパスポートを戻してくれました。(中略)