韓国検察の恣意(しい)的な捜査と法廷内外での市民の常軌を逸した行動は、韓国人の集合的無意識のレベルでつながっている。哲学者のヴィットゲンシュタインは、どんなに疑おうとしても疑うことのできない命題を「文法命題」と言った。韓国人にとって「独島」(竹島)が韓国領であることは疑いの余地がない「文法命題」だ。それに加えて、「加藤達也氏が大統領に対する名誉毀損という罪を犯した」ということが「文法命題」になりつつある。
韓国の裁判に対して、加藤氏と産経新聞は万全の態勢で臨むであろうが、この問題が「文法命題」としての色彩を強めると、「途中で道はいくつか分かれていても、上がりはすべて地獄」という双六のような事態になる。
公判で問われているのは、加藤氏、産経新聞にとどまらず、日本国家と日本国民の名誉と尊厳だ。本件がはらんでいる危機に対する政府関係者の認識が甘いように思える。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)