それを実現させたのは、リーダーの存在です。小川さん、松尾さんはもちろん、避難の受け入れを決めた町長だったり、NPOを活かそうと決めた知事だったり。誰かを助けたいと思っている人はたくさんいます。でもどうしたらいいかわからない、ためらいもある、だからこそ次の一歩を踏み出させるための決断を下す人が必要なんだと強く思いました。
現代社会は、世界的にも苦い経験を多く重ねてきて「リーダー」という存在に危うさやうさんくささを感じている。だからこそ民主主義が世界で支持されているのだけれど、どうしても危機のときには民主主義の限界が露呈してしまう。短時間で事を決断するリーダーが要る。なので危機のときに、間違えるリーダーを選んではいけない。われわれに足りないのは、近い将来必ず訪れる複数の危機に対応できるリーダーを選ぶこと、いなければ求めたり育てたりすることへの強い意志や、切実感なのかもしれません。(作家 天童荒太 談/取材・構成:塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)