【Viva!ヨーロッパ】
“城フェチ”を標榜(ひょうぼう)する筆者は、国内のみならず、世界をさまようたびに、各地の城や要塞を訪ねる。本来は血なまぐさいものでありながら、現在に至っては歴史のロマンを感じさせる遺物である。デンマーク東部にはバイキング時代に築かれた環状砦「トレルボルグ」が今に残っており、訪れる者に往時をしのばせている。
第二次大戦前に発掘
バイキング時代とは、北欧の民が船で侵略や略奪、移民などを活発に行った8世紀ごろから11世紀ごろまでを言う。戦いに明け暮れていた時代でもあり、このころにデンマークで環状砦が多くつくられた。
その中でも良好な状態で残っているのが、トレルボルグだ。首都・コペンハーゲンがあるシェラン島の西端に位置する。出土した木材の年輪調査で、西暦980年までに完成したとされる。
当時のデンマークを治めていたハラルド青歯王(在位958?~985年?)が築造したとされ、砦の目的として、(1)西シェラン地域の防衛拠点(2)反乱に対する王の防衛拠点(3)イングランド遠征のための訓練または冬営のための施設、の3点が推測されている。