達生さんは、一世を風靡(ふうび)した男性誌『GORO』の創刊から篠山紀信氏とともに巻頭を飾るグラビアを撮ってきた二大巨匠のひとり。アイドルや女優を魅力的に撮るのはもちろんだが、街や風景などそれ以外の写真もまたすてきなのだ。陰影と愛がある。痛みがある。自身も大病をされた経験があるからかもしれない。被写体に向き合うときの、瞬発力のある思いやりと刹那的なクールさ。清濁併せのむカメラマンがレンズ越しに捉える、唯一無二のロックバンドのほとばしるエネルギーを見てみたいと思った。
そこで今年4月2日の「Warm Blue Day」(世界自閉症啓発デー)でGet in touchが主催したライブに、半ば強引に「できれば撮ってほしい」と、詳しい説明もなく、足を運んでもらった。実は賭けだった。
「なんだ、同じなんだ」
後日、写真を見せてもらうため事務所にお邪魔した。すると、少年のようにエキサイトしている大ベテランがいた。「どう接していいのか最初はわかんなかった。完全無視で、目もあわせてくれないし…」。聞けば、達生さんに障がいをもった友人、知人はおらず、障がい者は今まで「想像の中の人たち」だったそうだ。けれども実際会ってみると「なんだ、同じなんだ」とホッとしたのだという。