サムスングループの支援のもと、米国で救世軍が子供たちのために開いたクリスマスパーティー。サムスンは福祉や教育に向けた慈善活動も世界中で展開、イメージの向上に力を入れている=2014年12月17日、米サウスカロライナ州グリーンビル(AP)【拡大】
11月には、在鎔氏が筆頭株主の座にある情報技術サービス会社、サムスンSDSが上場。さらに、サムスン総合化学やサムスンテックウィンなど4社を韓国のハンファグループに1兆9000億ウォンで2015年上期に売却すると発表した。
この事業再編は資金調達だけではなく、非中核の化学事業を切り離すことで在鎔氏の権限と責任を主力事業に集中させる狙いもあるようだ。また、在鎔氏の権力基盤を確固たるものにするため、調達資金を成長分野の半導体や自動車、バイオ事業などに投入するのではないかとの観測もある。
日本勢も動向注視
一方、サムスンの経営環境は厳しい状況にある。サムスン電子の7~9月期連結決算は中国のスマートフォンメーカーの躍進もあり、営業利益が前年同期比60%減に落ち込んだ。
国内の大手電機メーカーは半導体や家電、スマートフォン事業でサムスンの後塵(こうじん)を拝してきた。だが、サムスンの事業承継がうまく進まなければ、付け入る隙が生まれる。在鎔氏が盤石な体制を築けるかは、東芝やパナソニック、ソニーなど国内メーカーにとっても目が離せないところだ。(SANKEI EXPRESS)