≪「足元」立て直し急務 政治生命懸けた戦い≫
維新の党を牽引(けんいん)してきた橋下(はしもと)徹共同代表(大阪市長)がいったん、党務から引くのは、足元の大阪の立て直しが急務となったためだ。政界進出の原点である「大阪都構想」の実現には、来春の大阪府議選や大阪市議選の勝利が不可欠であり、2つの選挙は橋下氏の政治生命を懸けた戦いにもなる。しかし、維新の創業者であり、強い発信力を持つ橋下氏の国政関与が低くなることで、維新の党運営は大きく変化し、党内が混乱していく出発点となる可能性がある。
橋下氏は都内で開かれた執行役員会の冒頭、「当面職を離れたい」と自ら共同代表の辞任を申し入れた。慰留の声も出たが、最終的に了承されると橋下氏は途中で退席。報道陣の質疑に応じることもなく無言で会場を去った。
辞任の伏線はあった。橋下氏は先の衆院選で一時検討した自身の出馬の断念を「ベストの判断」と強調。選挙戦は大阪を中心に遊説し、大阪都構想の実現を掲げ「どんなに踏みつぶされようと、はい上がる」と訴えた。
維新は大阪府の比例代表で各党最多の114万票を獲得した。しかし、獲得した大阪の選挙区は12から5へ大きく減らした。