細胞内の小器官ミトコンドリアは、細胞にエネルギーを供給するエンジンの役割を果たす。独自の遺伝子(DNA)を有しているが、それは細胞の全DNAのわずか0.1%だ。このため、ミトコンドリアが持つDNAは外見や性格といったヒトの特徴には影響を与えないとされるが、有害変異するとミトコンドリア自体が異常をきたし、脳神経や筋肉などさまざまな臓器の働きを損ない、重篤疾患を引き起こす。これがミトコンドリア病だ。
子供7人亡くし…
ミトコンドリアのDNAは母親の卵子を介して子に伝わる母系遺伝で、父親からは遺伝しない。このため、ミトコンドリア病を予防するためには遺伝子レベルの治療が不可欠。英国にはこの病気に苦しむ出産適齢期の女性が約2500人いる。
こうした患者たちにとって、卵子核移植の合法化を認める今回の決定は朗報だ。7人の子供をすべてこの病気で亡くしたシャロン・ベルナルディさんはBBCに「感極まって何も言えない」と答え 祖母をこの病気で亡くしたレイチェル・キーンさんもBBCに「この最も残酷で破壊的な病気を次世代、そしてさらに次の世代にまで予防できる」と期待を寄せた。