イラク戦争に派遣され、「米軍史上最強の狙撃手」と呼ばれた海軍特殊部隊シールズの元隊員、クリス・カイルさん=当時(38)=が退役後の2013年2月に射殺された事件で、殺人罪に問われた元海兵隊員、エディ・レイ・ルース被告(27)に対する裁判が11日、テキサス州で始まった。米国では現在、カイル氏の自伝に基づく映画「アメリカン・スナイパー」(クリント・イーストウッド監督)が空前のヒットを記録中。「仲間を守るため」に約160人を射殺し、それに苦悩しながら生きる主人公が描かれている。弁護側は被告には責任能力がなかったとして無罪を主張する構えで、映画が陪審員の心証に影響を与え公正な審判ができないと異議を唱えており、裁判の行方に全米が注目している。
「善悪判断つかぬ」
米メディアによると、この日の初公判で被告側のティム・ムーア弁護士は「ルース被告はカイル氏に『こいつは本物のバカだ』と言われた。被告は善悪の判断がつかないほど精神を病んでいたので射殺してしまった」と訴えた。