ジェームズによれば、原作小説は、バンパイアと人間の恋愛を描いた大ベストセラー「トワイライト」シリーズの強い影響を受けたものだという。「主人公とヒロインがお互いに恋人としてふさわしくない立場に置かれているという部分はそっくりでしょう。恐らくトワイライトの原型は『美女と野獣』でしょうね。私が自分の小説でBDSM(ボンデージ、ディシプリン、サディズム、マゾヒズムの頭文字を取り、人間の嗜虐的な性的嗜好を示す言葉)を扱ったのは、バンパイアの比喩という意味合いもあるんですよ」
母性本能に訴える
原作小説の大ヒットをどう見ているのだろう。ジェームズは「まずは女性が大好きな情熱的なラブストーリーに仕立てたことが大きいでしょう。2つ目は一人称の現在形で書いた点。読者にすれば読みやすいでしょうし、アナの気持ちになって一緒に体験もできます。3つ目は、社会的に成功をおさめたクリスチャンの内面にダークな部分を併せ持たせたこと。彼は契約で縛ることでしか女性を愛せません。『彼をまともな方向に導くことができるのは私しかいない』と感じるアナの心情はきっと女性心理や母性本能に訴えるものでしょう」と分析してみせた。