哀愁や孤独、背負う男
及川が胸に抱くあるべきヒーロー像は、やはり大好きな石ノ森が生み出した正義のキャラクター群だった。
「自己犠牲の精神を持った孤独な人物。そもそも仮面ライダーは改造人間になりたくてなったわけではないですからね。それは怪物ロボットと戦う『人造人間キカイダー』(72~73年、現テレビ朝日)もそうだし、親友を殺害され復讐の旅を続ける『快傑ズバット』(77年、テレビ東京)もそうです」。
だからこそ、及川は黒井の演技でしっかりと彼の心情を体現することに力を注いだ。「黒井はショッカーに改造された人間。1号、2号と同様、悲劇のヒーローだという空気感、哀愁や孤独というものを背負って戦う男であろうと思って、僕は演じました」