支払い機能を搭載したスマートウオッチ「スウォッチタッチ_ゼロワン」の発売を発表するスイスの時計メーカー「スウォッチ」=2015年3月12日、スイス・コルジェモン(ロイター)【拡大】
「クオーツ危機」の苦い記憶
欧米の老舗時計メーカーが相次いで参入を表明するのは、アップル参入の効果でスマートウオッチの市場規模が大きく拡大するとみているためだ。多くのアナリストはアップルウオッチの初年度の売り上げを1000万~3000万個と予測。これは昨年のスイスの腕時計輸出実績(約2860万個)に匹敵する規模で、新たな客層の獲得につながる効果も期待できる。
一方で、一連の素早い動きの背後には、1970年代の「クオーツ危機」での失敗を繰り返したくないという恐怖心も見え隠れしている。スウォッチの元技術者で大手コンサルタントのトップ、エルマー・モック氏はBBCに「スイスの腕時計メーカーは、70年代に日本製の電池式クオーツ時計を過小評価し、業界がほぼ崩壊したことを忘れるべきではない」と警告。その危機を安価な大衆向け製品の投入で救い、業界を復活させたスウォッチが今後も業界をリードすべきだと訴えた。
音楽配信サービスやスマホなどの新市場を相次ぎ制圧してきたアップルを相手に互角の戦いを演じられるのか。時計メーカー各社にとって今年はその力量が問われる1年になりそうだ。(SANKEI EXPRESS)