サイトマップ RSS

【勿忘草】子供揺さぶる物語 (1/2ページ)

2015.3.26 10:30

児童文学作家、松谷みよ子さん(1926~2015年)=2010年10月(共同)

児童文学作家、松谷みよ子さん(1926~2015年)=2010年10月(共同)【拡大】

  • 児童文学作家、松谷みよ子さんの主な作品

 子供のころに読みふけった本というのは、その後も心の底にじっと残って、自分の基礎を作ってしまうところがある。私の場合、それが2月に89歳で亡くなった松谷みよ子さんだった。1969年に書かれた『ふたりのイーダ』を読んだときの静かな衝撃は、子供の気持ちを揺さぶり続けた。

 テーマは原爆ながら、歩くイス、洋館、日めくりカレンダー…と出てくる人、モノはファンタジーのよう。それなのに底に流れるのは、哀(かな)しみと死。静かな形で死をまとった物語は初めてで、戸惑いながらひかれた。

 『ふたり-』の挿絵を描いた司修さんは、産経新聞に掲載された松谷さんへの追悼寄稿で「児童文学に『死』をもちこんで、少年たちと共に語りあう場を示された」と書いた。そう、子供にとっては、死を語る人も場もなかったのだ。死はタブーだった。私は松谷さんの物語で死と生、そして戦争を学んだ。

 松谷さんは静かに闘った人だ。物語は声高ではなく、居丈高でもなく、静謐(せいひつ)で、落ち着いていて、それなのに、いや、だからこそ、すっと読者の心に忍び込んでくる。

いじめをテーマにした「わたしのいもうと」

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ