ポスター用描きおろし原画「続・無残ノ介」_2007年_紙にペン、墨、水彩_51.7x73.5cm(宮島径さん撮影、提供写真)。(C)YAMAGUCHI_Akira,Courtesy_Mizuma_Art_Gallery【拡大】
【アートクルーズ】
国際的にも評価の高い人気画家、山口晃が、水戸芸術館(茨城県水戸市)で、個展「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」を開いている。カンバスに油彩で描いた大和絵、浮世絵風な作品で知られる山口だが、今回は、油絵本来の“ペインタリー(塗り主体)な作品”も登場。新境地を開く展覧会だという。
独自のバランス感覚
不思議な副題「前に下がる 下を仰ぐ」の意味を、本人に尋ねてみた。
山口いわく「過去を見て後ずさる(下がる)ことでしか前という方向には進めない。踏みしめている足跡の下は何なのか見えない。その上に何が広がっているか、足跡よりも周りを見て、見えない部分を類推する」。
禅問答のようで、しっかり理解はできないが、言葉全体から感じられるのは、彼一流のバランス感覚だ。山口の中には、空間と時間の座標軸、そしてたぶん、日本美術と西洋美術の座標軸も存在するのだろう。その軸の中で、自分の立脚点をいつも確認していることだけは間違いなさそうだ。
例えば山口の描く時空を超えた寄せ集めの絵画も、その絶妙ともいえるバランス感覚から生まれてくるのではないか。