【アートクルーズ】
単位ってなんだろう? 測ったり、計算したり、比べたり…。便利な「道具」であり、共通の「言語」であり、国や地域で違う「文化」であり、社会そのもののデザインといってもいい。単位なくして私たちは一時も暮らせない-。21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)で開かれている「単位展-あれくらい それくらい どれくらい?」は、単位の本質について考え直す展覧会だ。
21_21 DESIGN SIGHTのエキシビション・プランナー、前村達也氏は、2月19日の報道関係者向けの内覧会で、開催のきっかけについて話した。東北の食と住を紹介した『テマヒマ展』のリサーチで70~80代の人たちに話を聞いた際、「いまだに尺貫法で話をしているので、イメージが湧かなかった。しかし勉強してみると、尺貫法はアジア人の体の部位に合っていることが分かった」。それからさまざまな単位を調べるうちに、単位に関するツールやデザインを(展覧会で)見せたら面白いと思ったという。
「お酒スケール」を見れば一目瞭然だ。一斗樽からおちょこまで、酒を貯蔵したり、運んだり、飲んだりする用途に合わせて単位が生まれ、それに合わせた道具を作ってきたことがよく分かる。酒に限らず人間は、ありとあらゆるものを測り、比べ、計算するために単位を使ってきた。が、いつの間にか、単位は私たちの体を離れて独り歩きし、今や人は単位に合わせて生活するようになった。