【アートクルーズ】
19世紀末からのアール・ヌーボーに続いて、第一次世界大戦(1914~18年)ごろから第二次世界大戦(39~45年)にかけ、装飾様式として広まったアール・デコ。これまでは、機械化の発達に関連し、直線や幾何学を使ったモダニゼーション(近代化)の面ばかり強調されて語られてきたが、実は古代のギリシャ・ローマ、18世紀の新古典主義から題材を引用した「古典主義」も含まれていた。アール・デコに対するイメージを一変させる展覧会「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」が東京都庭園美術館(港区白金台)で開かれ、注目されている。
アール・ヌーボーは、江戸時代の日本の漆器や磁器のデザイン、オリエント美術などからの影響で、植物がモチーフの曲線を多用し、豊かな装飾性が特徴だった。
対照的にアール・デコは、直線やジグザグ、円弧、流線形を組み合わせ、過度な装飾性はなくなり、すっきりしたデザインが特徴といわれてきた。それは近代化や都市化、工業化が進む中で、量産できるデザインや機能性が求められていた背景があるとされてきた。