【アートクルーズ】
今夏、新潟県で開かれる「大地の芸術祭・越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」に初出品するアーティストの大巻伸嗣(しんじ)さん(43)=東京芸大准教授=に作品のテーマやねらいを聞いた。広い空き家を利用したインスタレーションを考えているという大巻さんは、「見る人の時間を奪いたい」と話す。ドキドキ、わくわくの作品に仕上がりそうだ。
いま、取り組んでいるのは、空き家の模型を見ながら構想を練る作業。十日町市内の空き家は2階建てで、床面積は200平方メートルを超える広さ。その中に、「もう一つの時間を感じてもらえる作品を創りたい」という。
生活、存在の記憶
過去に増築された空き家は、人が住まなくなってかなりの年数がたっているが、集会所としてはときどき使われてきたらしい。半分朽ちかけていて、今は「人工的なものと人工的でないもの(自然)の間にあるようなクレバス、空洞」。その中を「見る人(入場者)がどう歩いたらいいか」「ハッと気がつくと、1時間たっているような空間をどうやったら作れるか」を悩んでいる。