狂言師、野村萬斎(まんさい)さんと舞台演出を手がけたメディアアーティストの高谷史郎さんによるコラボレーションによって行われた「三番叟/エクリプス(日蝕)」=2014年12月3日、東京都江東区の東京都現代美術館(政川慎治さん撮影)【拡大】
【アートクルーズ】
空気を切るような動作のキレ、がっしり地面をつかむ足元の美しさ、3度跳躍を繰り返すときの躍動感。和泉流狂言師、野村萬斎(まんさい)さん(48)の一挙手一投足に、観客の目は注がれる。
東京都現代美術館(東京都江東区)で開催中の「新たな系譜学をもとめて 跳躍/痕跡/身体」に関連し、3日、現代美術館で公演「三番叟(さんばそう)/エクリプス(日蝕(にっしょく))」が行われた。「三番叟」といえば五穀豊穣(ごこくほうじょう)を願う、古式ゆかしき日本芸能の真髄(しんずい)というべき舞。しかし、現代美術館でみせる「三番叟」は、新たな解釈が加えられていた。舞台演出はメディアアーティストの高谷史郎さんだ。
萬斎さんはこの舞に「天地人」-天と地の間の混沌(こんとん)とした人の世界にあって、地の下の荒(あら)ぶる神を鎮める舞、という現代的解釈を加えた。そこで高谷さんは光と映像、音を駆使した舞台空間を練り上げた。
前半(揉之段(もみのだん))では、萬斎さんの力強い足拍子の音が増幅され、会場を揺るがす。後半(鈴之段(すずのだん))、妖しい日蝕を払いのけるように鈴と囃子の音が響き合い、会場は独特の高揚感に包まれてゆく。それが最高潮に達した瞬間、まばゆい光が再来する-。