【アートクルーズ】
2010年に東京・六本木の森美術館での開催を皮切りに、日本全国を巡回した大型回顧展「幽体の知覚」以降、小谷元彦(おだに・もとひこ)による久しぶりの新作展が京都で開かれている。会場となる京都芸術センターは、1993(平成5)年に閉校となった明倫小学校の校舎を再利用した施設。現代美術の展示室はもちろん、伝統芸能やワークショップルームでのプログラムからカフェまでを備える。さしずめ、前回にこの連載で紹介し、やはり廃校跡地を再利用する東京の複合文化施設、3331アーツ千代田に対する西のライバルといったところだろうか。
震災を機に創作難航
先の回顧展以降、実は小谷は新作になかなか手がつかない時期が続いていた。美術家としての集大成を済ませたからではない。翌年に起きた東日本大震災の衝撃から、「作品」への信頼が揺らいでしまっていたのだ。物質と格闘し、長く後代まで作品を残そうとする彫刻家であるなら、なおさらだろう。