あとはもう、堰(せき)を切って水があふれ出すように新作ができていった。台湾での個展はこうして、過去の小谷の履歴のなかでも、もっとも旺盛な制作の時期を記録するものとなった。そこには、炎や水、割れやすいガラスや風圧といった、本来なら造形には適さない、物質とも現象ともつかぬ素材がふんだんに投入されている。
「断絶の円環」展の名のもと、2013年に台湾で発表されたこれら一連の作品は、残念なことに日本ではすべて未発表である。だから、「幽体の知覚」展を見た者が突然、今回の「ターミナル・モーメント」展に接したとき、微妙だが確実なその変化を前に、多少なりとも戸惑うかもしれない。が、震災前の2010年の小谷と2014年現在のかれとのあいだに「断絶の円環」を挟むことで、両者は意外なほどスムーズに繋(つな)がるのである。
今回の展示のうち最大の見ものは、本展のために一から作られた最新作「ターミナル・インパクト」だろう。ターミナル・インパクトとは「ファントム・リム」ときわめて密接な関係にある。それは、足を切断したものが義足を装着して歩くとき、地面から伝わる本人にしかわからないわずかの衝撃のことを指す。