【アートクルーズ】
現実と非現実を行き来する不思議な絵で、シュールレアリスムに大きな影響を与えたジョルジョ・デ・キリコ(1888~1978年)の回顧展が、パナソニック汐留ミュージアム(東京都港区東新橋)で開かれている。展示104点のうち、約8割が日本初公開。謎に満ちたデ・キリコの魅力を再発見できる展覧会になっている。
2011年にイザベッラ夫人の遺志でパリ市立近代美術館に寄贈された作品を含むコレクションが来日した。このうち1910年代に描かれ、衝撃を持って迎えられた初期の「形而上絵画」(メタフィジカ)と呼ばれるものは4点。
その一つ「謎めいた憂愁」(1919年)には箱やビスケット、積み木、胸像、棒などが描かれている。一つ一つのモチーフは、私たちがよく知っているものばかりだが、なぜ、それらが描かれたのか、それらは何を意味するのか、それらの関連性は何なのかは分からない。