狂言師、野村萬斎(まんさい)さんと舞台演出を手がけたメディアアーティストの高谷史郎さんによるコラボレーションによって行われた「三番叟/エクリプス(日蝕)」=2014年12月3日、東京都江東区の東京都現代美術館(政川慎治さん撮影)【拡大】
それにしても、能狂言の極限まで簡素化された動き、形式化された感情表現を見ると、そこに至るまでの先人らの試行錯誤を想像せずにはいられない。「先祖先達から伝わる『型』を代々受け継いでいるゆえに、『なぜこういう表現があるのだろう』と考えることがある。それにより、改めて自らの表現が問われ、自己の再認識ができる」。展示室に掲げられた、萬斎さんの言葉が興味深い。
研ぎ澄まされた身体の動きとは逆に、私たちは普段、どんなふるまいをしているのだろう。それを客観視できる面白い作品がある。岡田利規さん主宰の演劇カンパニー、チェルフィッチュによる映像インスタレーション「4つの瑣末(さまつ)な 駅のあるある」。
大きな4つのスクリーンに映し出される4人の若い男女。それぞれが何かを語りつつ、けだるげな動きをしている。スクリーンの前には、天井から釣り下げられた超指向性スピーカー。真下に立つと、眼前の人物の話が聞こえる。それは本当に瑣末なエピソード。リアルだけど、虚構。でも、こういう人、いるよね。日常のふるまいが巧みに様式化されている。