狂言師、野村萬斎(まんさい)さんと舞台演出を手がけたメディアアーティストの高谷史郎さんによるコラボレーションによって行われた「三番叟/エクリプス(日蝕)」=2014年12月3日、東京都江東区の東京都現代美術館(政川慎治さん撮影)【拡大】
バーチャルとリアルが混在する現代だからこそ、人は自らの身体をより強く意識し、よりどころにしたくなるのかもしれない。ブラジルの美術家、エルネスト・ネトのインスタレーションは、鑑賞者自ら体感してこそ意味がある。
展示作品「人々は互いを横切る風である」は、アマゾン森林地帯に住む先住民、カシナワ族の文化を美術家自ら経験したことで生まれた。ぐねぐね曲がる狭いトンネルの床に施された「ケネ」という模様(もよう)は、「知の源」を象徴する大蛇を表すという。大蛇の長いトンネルをくぐるうち、自らの体内を探検しているような感覚になるから不思議。身体を動かし続けることで、高揚感とともに余計なものがそぎ落とされ、浄化されてゆく気がする。その感覚は、抽象表現主義を代表するジャクソン・ポロックや、前衛美術団体「具体(具体美術協会)」の作家たちの表現にも通じる。
「具体」のメンバー、白髪(しらが)一雄は、言葉もライブ感に満ちている。「素手でやろう、手の指だ。そして前向きと信じながら走って走って、走るうちに、そうだ足だ。足で描く」(『具体』第3号より「行為こそ」1955年
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