【アートクルーズ】
文化庁が将来性のある若手アーティストを海外派遣して支援する「芸術家在外研修」。その成果を発表する「17th DOMANI・明日展」が、国立新美術館(東京都港区)で開かれている。「緻密さが増した」(文化庁)のが今回の作家たちの特徴という。外国の異文化の中で、日本人として、どう自分の個性やアイデンティティ-を確立して発信していくのか。古くて新しい命題に、作家たちは取り組んでいる。
最初に目が止まったのは、キプロスに在住の紙川千亜妃さん(38)の作品「Gathering for the admired twin-guru」。不気味さとどこかユーモアの混じった表情の人物の鉛筆画が、立てられていたり、寝かされていたり。不思議な空間を生み出している。
わざわざ作品を立てているのは「平面で書いた面白さを失わないまま、“立体”で展示したいから」。裏側には違う人物を描く。それも、紙の形を最初に切って、その不定形に描くことで、「想像力が働いて、面白い絵が描ける」という。