こうした創作の原点は、生い立ちと深く関係している。祖父が木箱作り、両親が洋服作りという家庭に生まれた。作業場や裁断場に余った板や生地があれば、それを使って何かを作った。カラフルにライティングされた商店街や商店の屋根の上が遊び場。服飾デザイナーや、服を買いにくる芸人たち、野球選手らが家を訪れ、さまざまな刺激を受けて、小学生のときにはすでに、アーティストになりたいと思っていたという。
大きな流れ見つめる
現在は彫刻科で教鞭(きょうべん)をとる。すでに技術を教えるだけの美術教育の時代は終わっている。「いまの学生は、多くの情報があるので、何でも知り、何でもできてしまう。でも、自分が本当は何を求めているのか知らない」。だから学生に対しては「その子の持っている、本質的で最もいいところ、面白いところを、会話の中でさがしてあげる」と、“自分探し”を手助けする。
さらに、「5年先を見て、『これを自分なりに考えていくといい』とアドバイスしたり、その学生の壁になる(敵対する考えの)人、学生と同じ考えを持っている人を紹介する(教える)ようにしている」ともいう。