大巻さんが嫌いなものの一つは、スタンプラリー。決まった時間内に決まった場所を急いで巡るから。「追われるような時間で見ていても、何も見えてこない。もっと大きな、違う時間、自然や宇宙につながる時間のようなものを感じてほしい」
川崎市岡本太郎美術館で、今月12日まで開かれている「TARO賞の作家II」に展示されている「Liminal Air Space-Time」(2014年)は、大きな軽い布が、裏側から吹いてくる風で、膨らんだり、ゆっくり落下したり、さまざまな姿を見せる。
その風はコンピューター制御されているが、「いったんコンピューターが計算したプログラムを、壊すように作ってある。自然に近い形、動きを生み出すことで、ふわっと巻き込まれるような時間を感じてもらう」
2010年に「瀬戸内国際芸術祭」で香川県高松港に設置した作品「Liminal Air-core-」は、ゲートに色づけした一種のカラーチャートを前景に、多くの人々が写真を撮り続けることで、「長い時間で瀬戸内の環境の変化を記録し、認識していこうという」作品だ。これも加工した空間の中で時間を捉えていくのがテーマだ。