静かな闘いは続いた。87年には、いじめをテーマにした『わたしのいもうと』を出した。いじめを受けた少女がずっと苦しみ、命を落とす。松谷さんが受け取った一通の手紙に書かれた実話が基になっている。
衝撃的な内容が、淡々とした言葉でつづられる。「いもうと」が遺(のこ)した言葉が胸に刺さる。
「わたしを いじめたひとたちは もう わたしを わすれて しまった でしょうね」
文章に、直接的な怒りの言葉はない。しかし、しばらく立ち上がれないほどの重さに打ちのめされた。怖い、とさえ感じた。
『わたしのいもうと』を授業で読んでいる学校もあると聞く。先日の産経新聞「談話室」にピアノ教師の方の投書が掲載されていた。ピアノの教え子が学校の道徳の授業で先生に読んでもらったそうで、教え子は「最後に泣いちゃった」と話してくれた、という。
松谷さんの物語は、いつの時代でも子供を揺さぶる。その存在の大きさを改めて痛感する。(小川記代子/SANKEI EXPRESS)