音楽劇「お嬢さんお手上げだ」。(東京)4月13日まで公演(菊野輝之さん撮影、提供写真)【拡大】
歌手の沢田研二(66)がコンサート、新曲制作とともに続ける活動の三本柱の一つが音楽劇シリーズ。1989年にスタートし、2006年以降は劇作家のマキノノゾミが手がける。今回は3年前に上演したマキノ作・演出作品の時代設定を変えて再構成。「ジュリーを見せるためだけの座長公演」とは違う上質なハートフル・コメディーに仕上がった。
明治時代の東京下町、小説家の安楽満(沢田)のもとに、九州から弟子入り志願の娘(那海)が訪ねて来る。母親はかつて安楽満が駆け落ちまでして別れた女性。「私はあなたの娘」と言い張る娘に戸惑いながらも心を動かされていく。沢田が1978年に発表した「お嬢さんお手上げだ」(阿久悠作詞、大野克夫作曲)にマキノがヒントを得た作品だ。
合間には、安楽満がパリを舞台に書いた設定の小説「王女と絵描き」の劇中劇が伏線で挟まれる。本編と共通するのは、泣き笑いしながら助け合う市井の人々の姿だ。