サムスンがアップルへの対抗心を剥き出しにするのは、昨年10~12月期のスマホ世界販売台数でアップルに抜かれ2位に転落したからだけではない。日本ではアップルに完全に水をあけられているためだ。
東京五輪にらみ
IDCジャパンによると昨年の国内スマホ市場のシェアは、アップルが約6割を占めた。対するサムスンはその10分の1以下だ。携帯各社がアイフォーンを「実質0円」で販売するなかで、不利な競争を強いられた面もある。
サムスン電子ジャパンの石井圭介専務は、日本市場について「最重点エリアと位置づけ、販促費や広告宣伝費など、多大な投資を行う」と強調する。携帯販売店に専門のコーナーを設置するほか、説明員も数倍に増やしたという。
サムスンが日本市場にこだわるもう一つの理由が2020年の東京五輪だ。サムスンは最高位の五輪スポンサーだけに、石井専務は「今のようなシェアで開催を迎えることはできない」といい、スマホに端を発した業績不振からの脱却を急ぐ。