「宣戦布告の公電届かず」
あの戦争において、スターリンのソ連がいかに卑劣であったかについて重要な事実を記した政府の答弁書が閣議で決定された。3月26日、民主党の鈴木貴子衆議院議員が、<「ソ連の対日宣戦布告」に対する駐旧ソ連特命全権大使佐藤尚武氏の公電は日本政府に届いているか>とただす質問主意書を提出した。
これに対して、4月7日、政府は閣議で、<お尋ねの「公電」については、戦時下のことであるから、確定的にお答えすることは困難であるが、昭和四十一年三月に外務省欧亜局東欧課が作成した「戦時日ソ交渉史(自昭和十六年至昭和二十年)」においては、「本件電報は遂に到着しなかつた。」としている>との安倍晋三首相名の答弁書を決定した。
閣議決定を経た答弁書は、日本政府の立場を拘束する。ソ連による日本政府への宣戦布告を伝える公電が、ソ連当局による電報封鎖で外務本省に到着していないのであるから、日本はソ連に不意打ちされたことになる。日本の対米宣戦布告が遅れ、真珠湾攻撃後になされたことで、日本は闇討ちをする卑怯(ひきょう)な国であるという非難がなされた。これは日本外交の汚点となっている。ソ連による闇討ち問題を日本外務省はなぜきちんと国民に説明しないのか。理解に苦しむ。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)