昨年7月の閣議決定では武力攻撃に至らないグレーゾーン事態で米軍が攻撃を受けた場合に自衛隊が防護できるとしたが、政府は協議を通じて米軍以外にも対象を広げる方針だった。
公明党はこうした政府の姿勢に「閣議決定で盛り込まれたこと以外もやろうとしている」と反発。最終案では、物資や情報を提供し合う協定を結んでいる国のみを対象とすることに落ち着いた。このため現段階では米軍とオーストラリア軍のみが防護対象となる。たとえば、日米印3カ国の共同訓練中に米印軍が攻撃を受けた際、自衛隊は米軍のみを守ることになり、インドの信頼を損なう恐れもある。
また、政府は船舶検査活動について、船長の同意がなくても検査できるよう提案していた。これに対しても公明党は「解釈に無理がある」(北側一雄副代表)として難色を示し、政府は撤回を余儀なくされた。現行の船舶検査活動法は対米協力を念頭に置いているが、法改正により幅広い国と協力しながら船舶検査を行うことになる。船舶検査は参加国が海域を分担して行うことが想定されるため、自衛隊の担当海域が船舶検査の“穴”となる可能性も否定できない。(杉本康士/SANKEI EXPRESS)