問題は、出された大きく分けて3つの条件だった。(1)取材は主に加盟各社のみ(2)発言者を特定した記事を認めない(3)今後の公開は未定-。最も引っかかったのは、取材活動が制限される(2)だった。
加盟各社との協議でも「制限は受け入れるべきでない」と反対の声が上がり、最終的には「今回は試験的に」ということで落ち着いた。いざ、公開された強化委員会の場は白熱していた。男女とも、コーチ会議で決まった原案に対して客観的なデータを示して別の選手を推す委員もいた。
14日に山下氏と加盟社の記者が集まり、意見交換を行った。記者側は取材への制限に対する懸念を改めて伝えたのに対し、山下氏も「公開したことでデータに基づく説明がこれまでより丁寧になった。実は、本音の議論ができなくなってしまったら、どうしようと心配していた」と胸の内を明かした。
山下氏は今後も公開するのか腹を決めかねていた。来年は、夏のリオデジャネイロ五輪の代表が選考される。それゆえに、強化委員からは今年以上に反対の声も予想される。度重なる不祥事から改革を進める柔道界。その決断にスポーツ界の注目が少なからず集まっている。(田中充/SANKEI EXPRESS)