かつて海底炭坑として栄えた端島(はしま)は、外観が戦艦に似ていることから「軍艦島」として知られる。上陸して観光するクルーズ船ツアーが人気だ=2009年7月13日、長崎県長崎市(奈須稔撮影)【拡大】
政府は4日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が、幕末から明治にかけての重工業施設を中心とした「明治日本の産業革命遺産」(福岡など8県)を世界文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。6月28~7月8日にドイツ・ボンで開かれる世界遺産委員会で正式に決まる見通し。登録が決まれば、「富士山」(山梨県、静岡県)、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)に続き3年連続で、日本の世界文化遺産は国内15件目。自然遺産も含めた世界遺産全体では19件目になる。
産業革命遺産は「軍艦島」の通称で知られる端島(はしま)炭坑(長崎市)など23施設で構成される。官営八幡製鉄所(北九州市)や三菱長崎造船所(長崎市)が導入し100年以上にわたって稼働し続けている現役の施設を含むのが特徴だ。
政府は「西洋の技術が日本文化と融合し、急速に産業国家が形成された過程を時系列に示しており、普遍的価値がある」と登録を推薦していた。
世界遺産委では日本やインド、ドイツなど21の委員国が合議し登録の可否を決める。日本が推薦した候補で過去に登録勧告が覆された例はない。だが今回は委員国の韓国が「朝鮮半島出身者を強制労働させた施設がある」と強く反対しており、審議が紛糾する恐れもある。