米国のオバマ政権は、ロシアに対する外交戦略を持っているのだろうか。12日、米国のケリー国務長官がロシア南部ソチを訪れ、プーチン大統領、ラブロフ外相と会談した。会談終了後、行われたラブロフ氏との共同記者会見の席上、ケリー氏は、ウクライナ紛争をめぐり2月に成立した和平合意が完全に履行されれば、米国と欧州連合(EU)はロシアに科した制裁を緩和するとの方針を明らかにした。この出来事は、米国がウクライナをめぐる対露政策を抜本的に変更することだ。産経新聞が事柄の本質を正確に洞察している。
中東問題で協力不可欠
<【ワシントン=加納宏幸】ケリー米国務長官がロシアのプーチン大統領、ラブロフ外相との会談でウクライナ問題をめぐる対露制裁解除の検討に言及した背景には、イラン核協議やシリア内戦など中東をめぐる問題でロシアの影響力発揮が不可欠だという判断があるとみられる。
ケリー氏はラブロフ氏との共同記者会見の冒頭、ウクライナ問題に言及する前にイラン、シリアの問題に触れた。イラン核協議の最終合意期限が6月末に迫っていることを挙げ、「交渉は残り6週間となった。取引をまとめ、完全に履行させるためには団結がカギとなる」と、米露協力の重要性を説いた>(5月13日「産経ニュース」)