岸田文雄外相もメッセージで、自身の訪露について「全体の状況を見つつ、検討していきたい。そのための環境が早期に整うことを願う」と述べた>(5月21日「産経ニュース」)
曖昧戦術にしびれ切らす
安倍首相や岸田外相は、日本はG7との共同歩調を取り、ウクライナ問題をめぐってロシアに制裁を科しつつ、同時に良好な関係を維持しようとしている。日本が実質的な対露制裁を行っていないこともあり、これまでロシアは日本の曖昧戦術を受け入れていた。しかし、ナルイシキン議長の訪日で、ロシアは立場の変更を明確にした。わかりやすく言うと、ロシアは「われわれとアメリカのどちらを選ぶのかはっきりしろ。それによって、プーチン政権の対日政策は変化する」という踏み絵を突きつけているのだ。
日米同盟を重視する安倍政権が、対露制裁を解除することは考えがたい。他方、ロシアに「日本としてはアメリカを選びます」とストレートに告げるわけにもいかない。そうなると現在の曖昧戦術を継続することになる。