米海軍の輸送揚陸艦「ポンス」に実験搭載された「レーザー・ウェポン・システム」。相殺戦略のコンセプトにも合致したこの新兵器は、中国に対する強い抑止力となる=2014年11月15日、ペルシャ湾(ロイター)【拡大】
超電磁砲と電磁波版MD
米海軍研究所(ONR)が2月に実射した最新兵器は、火薬を発明した中国にさぞや衝撃を与えたことだろう。火薬ナシで格段に速く・遠くに飛ばし、巨大な打撃を与える《超電磁砲=レールガン》が10年以内に海軍艦艇に搭載され、中国軍をにらむ仕儀となるのだ。レールガンは電磁エネルギーを利用し、電気伝導体のレールに挟んだ物体を磁場作用ではじき出す兵器。100分の1秒以内にマッハ7(秒速2500メートル)まで加速する。比較的速い戦車でさえ発射速度は秒速1800メートル前後で、もはや比較の対象にならぬ。射程も200キロを軽く超え、米海軍既存の5インチ砲の射程25キロ弱は無論、大日本帝國海軍が誇った軍艦大和の主砲42キロをも凌駕する。500キロ以上の達成は時間の問題だ。発電所単位という巨大な消費電力の削減や電源+発射システムの小型化が成功し、研究・開発の余地は多いが、最低限の実戦配備にメドはついた。