首都ソウル近郊の仁川国際空港で6月7日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染を防ぐため、マスクを身につけてゲートに向かう親子=2015年、韓国(AP)【拡大】
感染した男性(44)が5月26日に利用した韓国・仁川発香港行きのアシアナ航空機が、消毒されないまま27日まで名古屋や中国・大連などへの運航を続けたことも明らかになっており、朴槿恵(パク・クネ)政権は国内だけでなく中国世論からの非難も浴びている。
日本でも感染者が出る懸念が高まる中、一部の日本企業では、韓国への出張を自粛したり、ソウルで働く社員に手洗いやうがいの励行など注意を喚起している。東北大学の賀来満夫教授(感染症学)は「日韓の人の往来は大変多い。この点でエボラ出血熱よりも危機感を持っている」と話す。発熱やせきなどの呼吸器症状が出たら、早めに医療機関で診察を受け、直近の渡航歴もきちんと申告する必要がある。(SANKEI EXPRESS)
■MERS コロナウイルスによって引き起こされる感染症。2012年に初めて報告され、主に中東地域で患者が確認された。ウイルスはラクダなどの哺乳類や鳥類の呼吸器、消化器に感染し、人間では発熱やせき、呼吸困難、腎不全などを起こす。ワクチンや治療法はなく、患者は隔離病棟に入院し、回復を待つことになる。世界保健機関(WHO)によると、これまでに感染が確認された約1200人のうち約37%が死亡している。