ノーベル賞受賞者のティム・ハント氏。2015年6月9日に韓国で開かれた会議での女性研究者をめぐる発言が原因で辞職に追い込まれた=2001年10月8日、英国・首都ロンドン(AP)【拡大】
「男女別研究室」撤回せず
ハント氏は細胞分裂を制御する特殊なタンパク質分子の発見でノーベル賞を共同受賞。06年には大英帝国勲章を授与され、サーの称号を得た。
「男女別研究室」の持論は、自らの体験に基づいているという。英紙デーリー・メール(電子版)によると、ハント氏の妻は同じUCLで免疫学を教える56歳の教授で、ケンブリッジ大時代の教え子だった。彼女は別の研究者と交際し結婚したのだが、女好きで有名だったハント氏による“略奪婚”で結ばれたという。
「研究室に女性がいるから惑わされた」と言わんばかりの身勝手な持論に至ったハント氏。謝罪に当たっても、「(男女同室は)科学に悪影響を及ぼし、感情のもつれが人生を非常に険しいものにする」と、あくまで持論は撤回しなかった。
英紙ガーディアン(電子版)によると、英国の大学の理工系学部では常勤教授の84%が男性といい、女性研究者への偏見が満ちあふれているようだ。
日本でも理化学研究所の元研究員、小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏(31)のSTAP細胞論文の不正問題で“リケジョ”に注目が集まったが、女性研究者に対するある種の偏見に基づいた特別扱いが問題の一因と指摘されている。(SANKEI EXPRESS)