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【佐藤優の地球を斬る】露とバチカン 「ギブ・アンド・テーク」の理由 (3/3ページ)

2015.6.15 15:00

バチカンで会談するローマ法王フランシスコ(左)と、ウラジーミル・プーチン露大統領=2015年6月10日、バチカン(ロイター)

バチカンで会談するローマ法王フランシスコ(左)と、ウラジーミル・プーチン露大統領=2015年6月10日、バチカン(ロイター)【拡大】

  • 作家、元外務省主任分析官の佐藤優(まさる)さん=2014年3月20日、東京都新宿区(大里直也撮影)

 外交は「ギブ・アンド・テーク」でなされるのが通例だ。表に出ていないが、プーチン氏は法王に対して、ユニエイト教会の反露主義を抑制するように働きかけることを要請しているはずだ。フランシスコも肯定的言質を与えたと筆者は見ている。

 なぜなら、バチカンにとって最大の脅威は、アルカイダや「イスラム国」(IS)をはじめとするキリスト教世界を敵視するイスラム教原理主義過激派だからだ。バチカンは、ロシアと提携して、対イスラム教原理主義過激派との戦いに力を集中したいと考えている。ロシアにとって、ユニエイト教会を除けば、カトリック教会は脅威ではない。それに対して、アルカイダ、ISなどのイスラム教原理主義過激派は、ロシアの北コーカサス地方にも影響を与えており、プーチン氏にとって、目の前にある現実的脅威だ。

 ISの領域内に居住するキリスト教会を擁護するために、バチカンとロシアの間で、基本的な協力の枠組みが、今回のプーチン・フランシスコ会談によってできたのではないかと筆者は推定している。バチカンは、今後、中東における政治的働きかけを強めることになると思う。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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