歌心で独自路線
くしくも今、EDMなる過激な音遣いのダンスミュージックが新たなブームとして若者の間で熱狂的に支持されている。ハウスと同じビートを起用しながらも、ストイックな空間性と感情に染み入るような歌声やコード進行を持っていたハウスとは全く逆のベクトルを目指し、盛り上がりを重視するEDM。この世界的なEDMの勃興の中で、あえて歌心を大切にして独自の路線を歩むDJ KAWASAKIは、時代に逆行しているようにも思える。
しかし、過去にはなかった音の組み合わせで現代感覚を獲得し、むしろ、そのルーツを意識することで、時間を超えて正統的なハウスミュージックの後継者たらんとするかのようだ。その心意気は、権威や流行を盲目的に信奉するポリシーなき音楽消費者に対する挑戦なのかもしれない。
彼のターゲットは真の音楽愛好家。この『Timeless』には、騒ぐための音響効果ではなく、心に響くメロディーがふんだんにちりばめられている。(DJ、作曲家 沖野修也/SANKEI EXPRESS)