「どう生きるべきか」を死の間際まで迷うペールの人生を、白井は「生と死を核心に据えたドラマ」とみて長年、上演の機会をうかがってきた。初演された19世紀後半は、産業革命や明治維新など世界中で変革が起きた。そして現代も中東紛争や緊迫する日本と中国の関係など、転換期を迎えているかに見える。
「今年に入って世の中が厳しい状態にあることを、かなり近い手触りで感じている。危ういひりひりした状況の中で、どう生きるかを考えたかった」
その中で白井は内に、現代の若者像も投影した等身大のペールを求める。母オーセ(前田美波里(びばり))と恋人ソールヴェイ(藤井美菜)は聖母マリアのような「よりどころ」となる存在だ。「いつの時代も自分の居場所を探し続けている若者がペール。内君はナイーブで情感が豊か。まっさらな状態から、自分の中にあるペールを見つけてほしい」