また、「イランは、核協議で対話や外交によって自国民の権利を安定させることを追求している」と述べました。さらに、ローハーニー大統領は、国家の政治的な状況に触れ、国内の様々なグループの間の健全な競争を強調し、「現在、イランは、特別な状況にある。全ての政治グループは、団結し、国益の確保を考慮すべきだ」としました>(6月15日「イランラジオ日本語版ウエブサイト」)
合意できぬ方が望ましい
イラン国内では、宗教、政治、経済をめぐって、さまざまな対立がある。しかし、イランが核兵器を保有すべきであるという点では、保守派も改革派も同意見だ。イランには、シーア派(12イマーム派)のイスラム原理主義国家であるという面だけでなく、ペルシア帝国の末裔(まつえい)という要素がある。核カードを持つことが、イランの帝国主義的拡張政策に資するという点では、政治エリート、民衆の双方にコンセンサスがある。欧米がイランに対して譲歩しても、イランは帝国主義的思惑からシリア、レバノン、さらにイエメンへの介入を続けると筆者はみている。今回、イランに対して譲歩すると、後で大きなツケが回ってくる。交渉が決裂し、合意ができない方が、中長期的に国際社会の安定に寄与すると思う。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)