放浪の画家、山下清。時代を超えて異能が光る。千葉県市川市文学ミュージアム(市川市鬼高)で「山下清とその仲間たちの作品展」(8月30日まで)が開かれている。作品を見たい。行ってみよう。JR本八幡駅(もとやわたえき)で下車。15分ほど歩く。着いた。山下は1922年、東京・浅草で生まれた。市川市の障害児施設「八幡学園」に入園した。12歳だった。
久保寺保久・初代園長の教育方針は明快だった。「踏むな 育てよ 水そそげ」。障害を持った子供たちに貼り絵などを指導。山下は自己の表現手段となる貼り絵と初めて出合い、才能を一気に開花させていった。
会場。山下と、同時代を生きた石川謙二、沼祐一、野田重博の貼り絵やクレパス画などが展示されている。大胆な構図。鮮やかな色彩。リュックサックにげた履き姿で放浪中の写真もあった。園長に提出した文書「放浪をやめる誓い」もまた、興味深い。