昨年7月13日、ギリシャを訪問した中国の習近平国家主席。この3週間前には李克強首相もギリシャを訪れ、貿易・投資協定を締結して両国関係を強化した=2014年、ギリシャ・ロードス島(新華社=共同)【拡大】
【国際情勢分析】
中国がギリシャへの投資に食指を動かしている。
ユーロ圏首脳会議が金融支援の協議を行うことで合意し、ギリシャがユーロ圏から離脱する懸念が遠のいたからだ。地政学的にギリシャをユーロ圏への「橋頭堡(きょうとうほ)」と考える習近平指導部には「チャイナマネーにモノを言わせて“ギリシャ爆買い”に走るチャンス」と映っているに違いない。
ユーロ圏への「橋頭堡」
世界地図帳を開いて地中海に突き出たギリシャを探し、中国との位置関係を俯瞰(ふかん)すると、陸路でも海路でも空路でも、中国から欧州への要衝にあることが分かる。通貨ユーロがそこに流通しているのもカギだ。
中国はすでに2008年からギリシャ投資に大きくカジを切ってきた。中国海運最大手の中国遠洋運輸集団(COSCO)がギリシャ最大の貿易港「ピレウス港」に、子会社を通じて43億ユーロ(約5850億円)で35年間、一部の埠頭(ふとう)運営権を獲得。対ユーロ圏貿易の中継地として育成する国家的な戦略を進めていた。